2007年8月25日土曜日

トンコリの形状

トンコリの形状は「女体を模したもの」か

トンコリの形状はほぼ丸太を縦割にして刳り貫いたままです。つまり細長い。これを「女性の身体を模している」とする説が流布していますが、これは誤りです。「人間の身体にみたてられている」というのが正しい。トンコリを構えたときに上になる方を「頭」、下になる方を「尻」とみなし、下に位置するアザラシ皮を「陰毛」とみなす、というのは確からしい。しかし、これは「みなし」であって、もともと「模し」て作ったわけではない可能性が高い。

アイヌ語の世界では、細長い形状のものには原則として全て「頭」「尻」の二方向があるとみなします。鉛筆だろうがマッチ棒だろうが「頭」と「尻」がある。トンコリにも当然あるのです。日本語でもそれに近い現象はあります。

トンコリの場合「陰毛」「へそ」などの部分名称も記録されており、鉛筆よりは人体としてのみたての傾向が高いのは確かです。また、かつての弾き手が「トンコリ」を人間のようにみたてていたのも確かです。しかしだからといって「模している」とは限りません。

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