2007年8月22日水曜日

Wikipedia「アイヌ」の説明と「アイヌ文化成立」について

Wikipedia「アイヌ」の説明と「アイヌ文化成立」について

 2007年8月22日現在で、Wikipediaの項目「アイヌ」は「編集半保護状態」つまり未登録者が編集できないようになっています。つまり「編集合戦」が起きていたということです。だからといって問題があるとは限りません。編集合戦自体は内容の当否と関係ないかもしれません。また、Wikipediaは刻一刻と内容が変化していきますので、今後良かれ悪しかれ当ブログの指摘が意味を失うことでしょう。しかし今のところ、Wikipediaは実質上WEB上の標準的情報源となっているようですので、随時とりあげていきます。

(1)以下引用「アイヌの社会では、アイヌという言葉は本当に行いの良い人にだけ使われた。丈夫な体を持ちながらも働かず、生活に困るような人物は、アイヌと言わずにウェンペ(悪いやつ)と言う。」引用終り。

これは誤りです。日本語でも「人でなし」と言うことはありますが、それを以って「悪い奴は『人』と呼ばない」と限られた紙面内でまとめるのは不適切ですね。それと同じことです。もともと引用元となった文章を書いたひとはかなりの文章家ですが、Wikipediaでの引用はうまくいっていませんね。

(2)以下引用「アイヌ文化は北海道で13世紀に成立した。」引用終り。

百科事典としてこのような文は誤りです。13世紀以前には史料がない(考古資料しかない)というだけで「アイヌ文化がなかった」とは誰も言っていない。考古学上は「大きな人口移動は無かった」と考えられており、それ以前もアイヌ語を話す人間集団がずーっと住んでいた。そもそも「13世紀に成立」は「中世アイヌ文化」の成立に関する概念であり、アイヌ文化全体に敷衍するのは無理です。「日本文化は明治維新により19世紀に成立した」というのと同じくらいばかげた表現です。

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